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ドメインと商標権侵害|確認とトラブル対処

ドメイン番人6 分で読めます
目次

ドメインと商標は別の権利である

ドメインの登録は「早い者勝ち」が原則です。一方で商標権は、特許庁に出願し登録されて初めて発生する独占的な権利です。この2つは管理する主体も成立の仕組みも異なるため、片方を持っていればもう片方も安全、とはなりません。

たとえば、自社名のドメインを問題なく取得・運用していても、同じ名称を第三者が先に商標登録していれば、サイトやサービスの名称利用が商標権侵害と指摘される可能性があります。逆に、自社が商標を持っていても、よく似たドメインを第三者に取得されてなりすましに使われることもあります。

ドメインと商標の権利の違いと交差

つまり実務では、「自社が他者の商標を侵害していないか」と「自社の商標が他者のドメインに侵害されていないか」の両面を見る必要があります。ブランド保護全体の考え方はtyposquatting 対策の始め方も参考にしてください。

取得前にドメイン名と商標を確認する

新しいドメインやサービス名を決める前に、その名称が既存の商標に触れていないかを確認しておくと、後からの名称変更や紛争のリスクを下げられます。この確認は無料で始められます。

特許庁の J-PlatPat で調べる

商標の登録状況は、特許庁所管の独立行政法人 INPIT が運営する特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で誰でも無料で検索できます。商標検索では、文字どおりの表記だけでなく、読み方(称呼)でも調べられるのが特徴です。

確認のときは次の点を意識します。

  • 表記ゆれを複数試す。英字・カナ・ひらがな・スペースの有無などを変えて検索する
  • 称呼(読み)でも検索する。見た目が違っても読みが同じなら衝突しうる
  • どの区分(商品・サービスの分類)で登録されているかを見る。商標権は区分ごとに及ぶため、自社の事業領域と重なるかを確認する

ここで自社の事業と重なる先行商標が見つかった場合は、名称の再検討や、弁理士など専門家への相談を検討します。J-PlatPat はあくまで一次確認の道具で、最終的な権利の有無や侵害の判断は専門家の領域です。

取れても安全とは限らない

ドメインが空いていて取得できても、それは「商標として使って問題ない」という意味ではありません。取得と商標の安全性は別問題なので、運用開始前に確認しておくと安心です。

自社商標を他者ドメインに侵害された時の対処

自社の商標と同一または紛らわしいドメインを第三者に取得され、なりすましや不正な目的で使われている場合、いくつかの対処の道があります。状況に応じて段階的に検討します。

商標を侵害された時の対処フロー

まず証拠を保全し相手を確認する

対処の前に、問題のサイトやメールの状態を記録しておきます。スクリーンショット、URL、表示日時を残し、WHOIS で登録者を確認します。WHOIS が代理公開で隠れている場合はWHOIS 情報公開代行とはを、手口の見分け方はタイポスクワッティングとはを参照してください。

UDRP / JP-DRP による取消・移転請求

商標権者は、紛争処理手続きを使ってドメインの取消または自社への移転を請求できます。対象となるドメインの種類で使う制度が変わります。

  • gTLD(.com / .net / .org など)は、ICANN の UDRP(統一ドメイン名紛争処理方針)を利用します。手続きの流れはUDRP 申請手順で解説しています
  • JP ドメイン(.jp など)は、JP-DRP(JP ドメイン名紛争処理方針)を利用します。日本では日本知的財産仲裁センターが認定紛争処理機関として指定されています

JP-DRP の手数料は、1件の申立てを1名のパネルで審理する場合で18万円が目安とされ、裁定までおおむね2か月程度とされています。費用や日数は制度の改定や事案によって変動するため、申立て前に必ず JPNIC や日本知的財産仲裁センターの最新情報を確認してください。なお、これらの申立ては法律・知的財産の専門領域であり、弁護士や弁理士への相談を前提に進めるのが安全です。

偽サイト・コンテンツへの通報

ドメインそのものの取消とは別に、なりすましサイトの「中身」への対処もあります。フィッシングサイトはブラウザのセーフブラウジングへの通報、ホスティング事業者への申告、無断転載されたコンテンツには DMCA に基づく削除申請という道があります。DMCA テイクダウンの考え方と文面の組み立てはDMCA テイクダウンの基本にまとめています。これらは「ドメインの所有権を取り戻す」のではなく「悪用の流通を止める」アプローチです。

商標がからむドメイントラブルの傾向

商標権がからむドメインのトラブルは、いくつかの典型パターンに整理できます。実際の構図を知っておくと、自社がどのリスクにさらされているかを判断しやすくなります。

  • 転売目的の先取り。著名な名称やこれから使われそうな名称を先に取得し、本来の権利者に高値で売ろうとする。いわゆるサイバースクワッティングです
  • 読み・つづり違いの便乗。本物に似たつづりのドメインでアクセスを横取りし、広告やフィッシングに使う
  • 旧ドメインの再取得。過去に使われていたドメインが失効した後、第三者が取得して別目的で使う
  • 制作会社・代理店名義のまま放置。自社名のドメインが外部名義のまま管理され、連絡が取れなくなる

共通するのは、「使われ方」と「相手が誰か」で対処が分かれる点です。正当な同名他社が使っている場合と、明らかな悪意がある場合とでは、取りうる手段が異なります。

先回りで守る防衛取得という考え方

トラブルが起きてから紛争処理で取り戻すのは、時間も費用もかかります。そこで実務では、起きる前に主要なドメインを自社で押さえておく「防衛取得」が現実的な選択肢になります。

防衛取得は、自社名やサービス名について、主要な TLD(.com / .jp / .co.jp など)と、間違えやすいつづりの一部をあらかじめ自社で確保しておく考え方です。すべてのつづりや TLD を取りきることは現実的ではないため、優先順位をつけて絞り込みます。どこまで取るべきかの線引きは会社名ドメインが取れない・取られた時の対処で詳しく整理しています。

取得費用は TLD によって幅があり、一般的な gTLD で年1,000円台からが目安で、サービスや更新条件によって変動します。取りきれない分は「監視」で補うのが基本です。自社名を含む類似ドメインが新たに登録されていないかを継続的に見ておくと、早い段階で気づけます。

防衛取得は商標権そのものを守る手段ではありませんが、商標と組み合わせることで紛争に持ち込む前に問題の芽を減らせます。商標は権利の裏付け、防衛取得はドメイン空間の占有、と役割を分けて考えると整理しやすくなります。

よくある質問

ドメインを取得すれば商標権も得られますか

いいえ。ドメインの取得は登録機関への申し込みにすぎず、商標権とは別の制度です。商標権は特許庁への出願・登録によって初めて発生します。名称を独占的に守りたい場合は、ドメイン取得とは別に商標登録の検討が必要です。

自社の商標と同じドメインを取られていたら必ず取り戻せますか

必ずとは限りません。UDRP や JP-DRP では、相手が不正の目的で取得・使用していることなどの要件を満たす必要があります。正当な同名他社が事業で使っている場合は認められにくいです。判断は専門領域のため、弁護士や弁理士への相談を前提に進めてください。

商標確認は自分でやって大丈夫ですか

一次的な確認は J-PlatPat で自分でできます。表記ゆれや称呼でも検索し、自社の事業区分と重なる先行商標がないかを見ます。ただし最終的な権利関係や侵害の有無の判断は専門家の領域です。重要な名称ほど、確認結果をもとに弁理士へ相談することをおすすめします。

まとめ

ドメインと商標は別の権利で、どちらか一方を持つだけでは守りきれません。取得前は J-PlatPat で先行商標を確認し、侵害された場合は証拠保全のうえで UDRP / JP-DRP や通報を検討します。そして起きる前の防衛取得と監視で、紛争に至る前に芽を摘むのが現実的です。詳しい手続きやコスト感は、本文で挙げた各記事もあわせて確認してください。

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