VMC・CMCの費用と取得手順|BIMI入門
目次
この記事でわかること
- BIMI のロゴ表示に必要な「VMC」と「CMC」の違い
- それぞれの費用レンジと取得難度の比較
- 取得までの 5 ステップ、中小企業が選ぶべきはどちらか
VMC と CMC ─ 認証マーク証明書の 2 種類
BIMI(Brand Indicators for Message Identification)で受信箱に自社ロゴを表示させるには、認証マーク証明書が必要になる場面があります。代表的なのは Gmail で、ロゴ表示を有効にするには証明書が事実上の必須条件です。
この証明書には 2 種類あります。
- VMC(Verified Mark Certificate) ─ 商標登録済みロゴを対象とした証明書
- CMC(Common Mark Certificate) ─ 商標登録なしでも取得できる証明書(2024 年から運用開始)
長らく VMC 一択でしたが、商標登録のハードルで導入を諦める企業が多かった現状を受けて、CMC が新設されました。中小企業にとっては選択肢が広がった形です。
BIMI の全体像や前提条件はBIMI 設定方法で扱っています。本記事は 証明書の費用と取得手順 に絞って解説します。
VMC と CMC それぞれの要件と費用レンジ
VMC ─ 商標登録ロゴ向けの「正規版」
VMC は最も歴史のある BIMI 証明書で、Gmail / Yahoo! Mail / Apple Mail のいずれにも対応します。Gmail 上では VMC 限定の 青いチェックマーク(Blue Checkmark)が併せて表示されるため、ブランドの本物性を最大限に主張できます。
取得要件は次のとおりです。
- 商標登録が必要(USPTO、日本特許庁、EUIPO、UKIPO など対応する商標庁あり)
- 登録済み商標と完全に一致する SVG ロゴ
- ドメインの所有確認、および法人実在確認(認証局によっては Web 会議による確認あり)
費用面では、VMC 自体の認証局費用は 年額数十万円程度(発行元・更新条件によって変動)で、これに加えて商標登録がまだの場合は次のコストが上乗せされます。
- 商標出願費用: 数万円〜十数万円(出願区分の数で変動)
- 弁理士費用(任意): 数万円〜十万円程度
- 商標登録までの期間: 国内なら 半年〜1 年
正確な認証局費用は発行元の公式サイトをご確認ください。発行元は 2026 年時点で DigiCert と Entrust が中心です。すでに商標登録済みのロゴがあれば、VMC を直接申請するのが最短経路です。
CMC ─ 商標なしで取れる「ライト版」
CMC は 2024 年に DigiCert と Entrust が発行を開始した、商標登録不要の認証マーク証明書です。商標登録のハードルで BIMI を諦めていた企業の選択肢として用意されました。
取得要件は VMC より大幅に軽くなっています。
- 商標登録は不要
- ロゴの所有を証明する代替書類(Google 等の事業アカウント情報、SNS の運用証跡、ロゴ制作の委託契約書など)
- ドメインの所有確認
費用は VMC より 安価で、年額数万円〜十万円程度 に収まります。商標登録費用が不要なので、初期コストの差はさらに大きくなります。正確な金額は発行元の公式サイトをご確認ください。
ただし、Gmail では ロゴは表示されるものの、青いチェックマーク(VMC 限定の識別バッジ)は付与されない という制限があります。Apple Mail / Yahoo! Mail は VMC とほぼ同等に扱う場合があり、表示挙動はメールクライアントごとに微妙に異なります。
「とにかくロゴを出したい、識別バッジまではこだわらない」サイト運営者は、CMC で十分なケースが多いです。
費用と期間の比較サマリ
| 項目 | VMC | CMC |
|---|---|---|
| 商標登録 | 必須 | 不要 |
| 認証局年額 | 数十万円程度 | 数万円〜十万円程度 |
| 商標出願費用 | 別途数万円〜十数万円 | なし |
| Gmail のロゴ表示 | あり | あり |
| Gmail の青チェックマーク | あり | なし |
| 申請から発行まで | 数週間(商標済の場合) | 数週間 |
| ゼロから始めた場合の合計期間 | 半年〜1 年 | 数週間〜1 ヶ月 |
中小企業が初めて BIMI を導入する場合、まず CMC で運用を始めて、ブランド成長に合わせて VMC へ移行 する 2 段構えが現実的です。逆に、すでに商標登録済みであれば最初から VMC を選んだ方がトータル費用は安くなります。
取得までの 5 ステップ
VMC・CMC ともに、大まかな手順は共通しています。商標登録の有無で Step 3 の提出物が変わるだけです。
Step 1: DMARC を p=quarantine 以上で運用
BIMI 証明書を発行しても、DMARC が p=none のままではロゴは表示されません。最低でも p=quarantine まで強化されている必要があります。具体的な手順はDMARC 設定ガイドを参照してください。p=none で 1〜3 ヶ月運用してレポートを確認し、誤検知がないことを見極めてから昇格するのが定番の流れです。
Step 2: SVG ロゴを準備
BIMI 用の SVG は SVG Tiny PS という制限プロファイルに従う必要があります。スクリプトや外部参照は禁止、正方形(1:1)、ファイルサイズ 32KB 以下が要件です。デザイン会社に「BIMI 対応 SVG」と伝えれば対応してもらえる業者が増えています。VMC を取る場合は、ここで作る SVG が 登録商標と完全に一致 している必要がある点に注意してください。
Step 3: 認証局に申請
VMC を選ぶ場合は商標登録番号と SVG を、CMC の場合は事業確認書類と SVG を発行元(DigiCert / Entrust)に提出します。本人確認や法人実在確認のために、ビデオ通話や追加書類が求められることがあります。日本企業の場合、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の提出を求められるケースが多いです。
Step 4: 証明書ファイル(PEM)を HTTPS 公開
発行された証明書は PEM 形式のファイルで届きます。これを自社ドメイン配下の HTTPS で公開します(例: https://example.co.jp/bimi/cert.pem)。SVG ロゴも同様に HTTPS で公開します。SSL 証明書が有効であることが必須で、自己署名証明書では認識されません。
Step 5: BIMI レコードを DNS に追加
default._bimi.example.co.jp の TXT レコードに次の値を設定します。
v=BIMI1; l=https://example.co.jp/bimi/logo.svg; a=https://example.co.jp/bimi/cert.pem
設定後、Gmail で自社ドメインから自分宛にテストメールを送り、ロゴが表示されるか確認します。反映には数時間〜数日かかる場合があります。
どちらを選ぶか ─ 判断軸
簡易的な判断基準は次のとおりです。
- すでに商標登録済みのロゴがある → VMC を直接申請(青チェックマークまで取れる)
- 商標未登録、ロゴ表示を早く始めたい → CMC でスタート
- 商標登録を計画中、急がない → 商標完了まで CMC で運用、登録後に VMC 移行
- そもそも DMARC が
p=none→ 証明書取得より先に DMARC 強化
特に検討の余地が大きいのは「商標登録を計画中」のケースです。商標登録には半年〜1 年かかるため、その間に CMC で BIMI を運用しておけば ブランド体験を先行して提供 でき、商標登録完了と同時に VMC へ切り替える流れが取れます。
ブランド保護の全体像は類似ドメイン対策の基礎も併せて参照してください。
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