Authentication-Results の見方と読み方
目次
この記事でわかること
- Authentication-Results ヘッダで
spf=/dkim=/dmarc=の合否を読む方法 - pass / fail / none / softfail / temperror / permerror の意味の違い
- Gmail・Outlook で認証結果を自分で確認する手順
「なぜ迷惑メール判定されたのか」を自分で確かめたい
「うちから送ったメールが、取引先の迷惑メールフォルダに入っていた」「逆に、届いたメールが本物か怪しい」——こんなとき、答えはメールの中にあります。
受信したメールには Authentication-Results(オーセンティケーション・リザルツ=認証結果) というヘッダ(メールの裏側に付く管理用の情報)が記録されています。ここを読めば、そのメールが SPF・DKIM・DMARC という 3 つのメール認証をそれぞれ通過したのか、失敗したのかが一目でわかります。
このヘッダの書式は RFC 8601(インターネット標準仕様)で定義されており、Gmail や Outlook など主要なメールサービスが共通してこの形式で記録しています。読み方さえ覚えれば、どのサービスでも同じ要領で確認できます。
メール認証そのものの仕組みをまだ押さえていない方は、先に SPF・DKIM・DMARC の違いをわかりやすく解説 を読んでおくと、この先の内容がぐっと理解しやすくなります。
Authentication-Results の全体構造
まず、典型的な 1 通の例を見てみましょう。すべての認証が通っている「理想の状態」です。
Authentication-Results: mx.google.com;
spf=pass (google.com: domain of [email protected]
designates 203.0.113.10 as permitted sender)
[email protected];
dkim=pass [email protected] header.s=selector1;
dmarc=pass (p=NONE sp=NONE dis=NONE) header.from=example.co.jp
一見すると暗号のようですが、構造はシンプルです。
- 先頭の
mx.google.com:どのサーバーが認証を判定したか(authserv-id)。Gmail ならmx.google.comになります spf=/dkim=/dmarc=:それぞれの認証方式と、その結果(合否)- カッコ内や
smtp.mailfrom=などの付帯情報:判定の根拠になったドメインや IP アドレス
つまり「方式=結果」のセットが 3 つ並んでいるだけ、と捉えれば読みやすくなります。RFC 8601 では各セットを method=result の形で記述すると定められています。
結果値(pass / fail / none …)の読み分け
結果値は数種類あり、方式ごとに使える値が決まっています。下の早見表を手元に置いて読むと迷いません。
| 結果値 | 意味 | どう受け止めるか |
|---|---|---|
| pass | 認証に成功した | 正常。送信元として正しいと確認できた |
| fail | 認証に失敗した | 設定漏れ、または なりすましの可能性 |
| none | 認証情報が無い/評価していない | SPF・DKIM・DMARC が未設定の状態 |
| softfail | 失敗だが弱い拒否(SPF のみ) | SPF が ~all。怪しいが拒否まではしない扱い |
| neutral | 判定を保留(合否を示さない) | SPF が ?all 等。明確な合否がない |
| temperror | 一時的なエラー | DNS の一時障害など。再送で解消することがある |
| permerror | 恒久的なエラー | レコードの記述ミス。直さない限り解消しない |
ポイントは fail と softfail の差 です。SPF の softfail は、SPF レコードの末尾が ~all(チルダ)の場合に出ます。「登録外の送信元だが、受信は拒否せず迷惑メール寄りに扱う」という弱い判定です。これに対し fail は末尾が -all(ハイフン)で、より明確に「不正な送信元」と扱われます。SPF の ~all と -all の違いは SPF の fail と softfail の違い で詳しく整理しています。
なお、SPF と DKIM では pass fail none neutral temperror permerror などが使われ、softfail は SPF だけ に存在します。DMARC で使われる結果値は pass fail none temperror permerror の 5 つで、こちらに softfail はありません(IANA の Email Authentication Result Names レジストリで定義)。
付帯情報(header.from / smtp.mailfrom / header.d)の意味
結果値の前後に並ぶ付帯情報は、「どのドメインを根拠に判定したか」を示します。ここを読むと、なぜその合否になったのかの理由までたどれます。
[email protected]:SPF が評価した送信元アドレス。封筒でいう差出人(Return-Path)にあたるドメインですheader.d=example.co.jp(または[email protected]):DKIM 署名を付けたドメイン。header.s=はそのときの「セレクタ(鍵を識別する名前)」ですheader.from=example.co.jp:DMARC が基準にする、メール本文に表示される From のドメイン
DMARC の合否は、この header.from のドメインと、SPF / DKIM が認証したドメインが一致しているか(アラインメントと呼びます)で決まります。SPF や DKIM が個別に pass でも、From のドメインと食い違っていると DMARC は fail になり得ます。仕組みの全体像は DMARC とは?仕組みと SPF/DKIM 違いを 5 分解説 を参照してください。
失敗している例を読んでみる
次は、SPF と DMARC が失敗しているケースです。
Authentication-Results: mx.google.com;
spf=fail (google.com: domain of [email protected]
does not designate 198.51.100.7 as permitted sender)
[email protected];
dkim=none;
dmarc=fail (p=NONE) header.from=example.co.jp
読み解くとこうなります。
spf=fail… 送信元 IP198.51.100.7が SPF レコードに登録されていない。新しく使い始めた送信サービスの追加忘れ、または第三者によるなりすまし送信dkim=none… DKIM 署名が付いていない(DKIM 未設定、または署名が壊れて検出されなかった)dmarc=fail… SPF も DKIM も From ドメインと整合しなかったため、DMARC として失敗
自社の送信であれば、送信に使っているサービスの IP を SPF に追加し、DKIM 署名を有効にすれば pass に近づきます。
Gmail・Outlook で認証結果を確認する手順
実際のメールでヘッダを開く手順は、サービスごとに少し違います。
Gmail(ブラウザ版)
- 対象のメールを開く
- 返信ボタンの右にある三点メニュー(⋮)をクリック
- 「メッセージのソースを表示」(英語表示では Show original)を選ぶ
- 新しいタブが開き、上部の概要に SPF / DKIM / DMARC の合否、本文に Authentication-Results が表示されます
Outlook(Web 版・新しい Outlook)
- 対象のメールを開く
- 三点メニューから 「表示」→「メッセージのソースを表示」
- 表示されたソースの中から
Authentication-Resultsの行を探します
Outlook(従来のデスクトップ版)
- 対象のメールを開く
- 「ファイル」→「プロパティ」
- 「インターネット ヘッダー」 のボックス内に Authentication-Results が含まれます
どのサービスでも、開いたソースの中から Authentication-Results という文字列を検索すれば、目的の行にすぐたどり着けます。
よくある質問
Authentication-Results が複数行ある場合はどう読みますか
中継サーバーが複数あると、Authentication-Results が複数付くことがあります。自分が 最終的に受信したサーバー(先頭の authserv-id が自社・自分のメールサービスのもの)が付けた行を基準に読みます。途中の中継サーバーが付けた行は参考情報です。
spf=pass なのに迷惑メールに入るのはなぜですか
SPF が pass でも、DKIM や DMARC が fail だと総合的に迷惑メール判定されることがあります。3 つの結果をそれぞれ確認し、fail や none になっている方式を順に直していくのが基本です。
dmarc=none と dmarc=fail は何が違いますか
none は DMARC レコード自体が未設定(評価対象がない)状態、fail は DMARC レコードはあるが認証が整合しなかった状態です。none の場合はまず DMARC レコードの公開から始めます。
まとめ
- Authentication-Results は「方式=結果」が 3 つ並ぶだけと捉えると読みやすい
- pass / fail / none に加え、SPF の softfail(
~all)と fail(-all)の差を押さえる header.fromと SPF / DKIM のドメインの一致(アラインメント)が DMARC 合否を左右する
まずは自社の認証状況を確認しましょう
受信メール 1 通の Authentication-Results を読めば「いま起きていること」がわかりますが、自社ドメインが そもそも認証を通せる設定になっているか は、送信前に把握しておくのが安全です。
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